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2025年05月30日(金)
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離婚に向けて協議へ!話し合うべき項目は?

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離婚に向けて協議へ!話し合うべき項目は?

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ニュースや世間話でも、「誰々が離婚した」という話題はよく話にのぼりますね。離婚問題は誰にでも関わり得るものだといえるでしょう。複数ある離婚の手続の中で、最も身近なのは「協議離婚」と呼ばれるタイプのものです。今回は、協議離婚について、その際に話し合うべき項目を中心にご説明致します。

離婚
協議離婚って何ですか?
まず、離婚の種類についてご説明します。離婚には、夫婦間が離婚することについて合意をして、役所へ離婚届を提出することで成立する「協議離婚」と、夫婦間の意思を前提にしつつも家庭裁判所が間に入る「調停離婚」、調停で離婚に関する合意が成立しない場合に家庭裁判所の家事審判官が職権で行う「審判離婚」、家庭裁判所が離婚するかどうかやその条件を決める「判決離婚」があります。

2015年の日本における離婚総数は226,215件ですが、そのうち協議離婚は198,214件(87.6%)、調停離婚は21,730件(9.6%)、審判離婚は379件(0.2%)、判決離婚は2,383件(1.1%)となっています(厚生労働省「人口動態統計」(2015年)より)。この統計からわかるように、「協議離婚」は離婚数の約9割を占める、最も一般的な方法といえます。
協議離婚は、夫婦間で離婚するかどうか自体や離婚条件について話し合いを行い、合意に至った後、役所に離婚届を提出する、という流れで離婚に至ります。

離婚の際に話し合うべき項目は?
協議離婚の場合は、夫婦間において、離婚するということ自体と、子どもがいる場合には親権者をどちらにするかを決めなければいけません。親権者については、離婚の届出書に記入する必要があります。
これら以外のことについては、決まっていない段階でも、離婚届を提出することが可能です。離婚した後からでも、慰謝料は原則として離婚から3年以内、財産分与等は離婚から2年以内、養育費は子どもが成人するまでの間、という期間内であれば、別の機会に定めることができます。
ひとまず早く離婚したいので、財産分与等については離婚後に話し合おう、というのも選択肢の1つでしょう。しかし、離婚の際にまとめて話し合う方が良い場合も多く見られます。例えば、納得のいく額で慰謝料の合意ができない限り離婚には応じない、とするなど、離婚条件の交渉に用いることができます。

離婚の際に話し合って決めるべきことは、大まかにいうと次の8つです。
1、離婚するかどうか
協議離婚の場合は、離婚理由はどんなものであっても構いません。後述する他の条件との兼ね合いも考えて、慎重に検討しましょう。

2、慰謝料
一方配偶者が浮気やDV、悪意の遺棄等(有責行為といいます)をしたことが原因となり離婚せざるを得なくなった場合、他方配偶者は、離婚の原因を生じさせた配偶者に対し、その精神的苦痛に関する慰謝料を請求することができます。
・慰謝料の支払義務の有無
上記のような有責行為があり、精神的な苦痛を受けたと認められる場合、慰謝料の支払義務が認められますので、これらについて確認し、支払義務の有無を検討しましょう。
不貞行為に関する慰謝料が問題になる際に注意しておきたいのは、不貞行為の前に婚姻関係が破綻していた場合には、慰謝料の請求はできないと考えられているということです。
・慰謝料の金額
慰謝料額の算定の際の考慮事項としては、婚姻期間や有責行為の態様、当事者の年齢や収入等が挙げられます。慰謝料の額はそれぞれの状況によって異なってきますので、一般的な目安を述べるのは難しいのですが、平均して200万円ほどであるといわれています。
・支払期限や支払方法
できるだけ一括で支払うこととした方が、途中から不払いになるリスクが減るので安心です。しかし、資金上、慰謝料を一括で支払うことができない場合もありますので、そうした場合には分割で支払うことも検討しましょう。

3、財産分与
・財産分与対象の財産
協議離婚をする場合、一方配偶者は、他方配偶者に対し、婚姻中に夫婦の協力によって形成された財産の分与を請求することができます。
まず、二人の共有財産について全てリストアップしてみましょう。住宅ローン等の借金についても、婚姻生活のためにできたものであれば財産分与の際に考慮しなければならないので、注意が必要です。
・財産の分配方法
原則として、夫婦の分配割合は2分の1ずつとされています。
・支払回数や支払期限
一括で支払うことは資金上困難な場合もありますので、そうした場合は分割で支払うことも検討しましょう。

4、婚姻費用
婚姻費用とは、一般的には、婚姻生活を継続するために双方が負担すべき費用、つまり生活費のことをいいます。たとえ別居中だったり、離婚について協議中であったりする場合でも、夫婦はお互いに、自己と同程度の生活水準まで配偶者を扶養する生活保持義務を有しており、婚姻費用を分担しなければなりません。
例えば、夫に収入があり妻が専業主婦である場合など、夫婦間で収入差があり、このような夫婦が別居期間を経た上で離婚する場合には、妻は、夫に対し、別居期間中の婚姻費用を請求することができます。

5、親権者
親権者とは、子供の監護教育をする権利義務を有する者のことをいいます。協議上の離婚をする場合は、必ず父母の一方を親権者として定めなければなりません。
・監護権者
また、特別な事情によって、親権者ではない親が子どもを監護教育する場合には、別途監護権者を定める必要があります。

6、養育費
夫婦は、離婚後も子どもが経済的に自立するまでの間、その監護に係る費用を負担しなければなりません。養育費の支払義務の有無、金額、支払期間、支払方法について話し合う必要があるでしょう。

7、子どもとの面会交流
面会交流とは,離婚後に子どもを養育していない方の親が子どもと面会等を行うことをいいます。あとで争いがないように、どのように面会交流をするのが子どもにとって有益であるかよく話し合い、下記の事項について、具体的なことまで決めておくとよいでしょう。
・面会交流の具体的な頻度・回数
・1回あたりの面会時間
・面会方法
・連絡手段
・授業参観・運動会等の行事への関わり方

8、年金分割
協議離婚をする場合、当事者の一方からの請求により、婚姻期間中の厚生年金等を当事者間で分割することができます。
2008年4月1日以降の年金記録については、年金事務所に請求するだけで年金分割が可能なのですが(3号分割といいます)、それ以前の年金記録については、相手方配偶者との合意または裁判によらなければ分割ができませんので、注意が必要です。
・分割の割合
合意分割の場合、分配の割合は通常は2分の1です。ただ、早く離婚問題を解決したい場合や、他の条件を優先したい場合などには2分の1未満の割合にするなど、柔軟に対応することも交渉手段として頭に置いておくと良いでしょう。
・分割手続の進め方
合意分割の場合、年金事務所への申請の際に、公正証書または公証人の認証が必要になりますので、その手続の進め方についても話し合っておく必要があります。

離婚の条件は書面にして公正証書化しよう!
協議離婚は、離婚の届出書に記入して提出するだけで成立しますので、離婚条件について書面化する義務はありません。しかし、取り決めた離婚の条件を明確にし強制力を持たせるために、取決めの内容を書面化し、公正証書を作成することをお勧めします。

公正証書とは、法律の専門家である公証人に依頼して、民事上の約束・契約などについて公証人法・民法などの法律に従って作成してもらう公文書のことをいいます。
金銭の貸借や養育費の支払など金銭の支払を内容とする取決めについて、執行受諾文言付きの公正証書を作成しておけば、債務者が金銭債務の支払を怠ったときに、すぐ強制執行手続に入ることができます。公正証書を作成していなかった場合、強制執行を行って金銭を取り立てるためには、裁判を提起して裁判所の判決等を得なければならず時間も手間もかかってしまいますから、これは大きなメリットといえるでしょう。
また、公正証書にすることで、証明力のある証拠を得ることができます。仮に、後になって相手方配偶者が離婚の合意や養育費等の支払義務の存在について裁判で争ってきた場合、自らが主張する権利を裁判官に認めてもらうには、その根拠となる証拠を提出する必要があります。そして、証拠が文書である場合、その文書が証明力のある証拠、すなわち信頼性の高い文書であるかどうかが重要となります。公正証書は当事者の依頼に基づき公証人が作成したものであることは確実であり、高い証明力を有していますので、証拠としての価値が高いといえます。

公正証書は特に金銭の支払について離婚の条件を取り決めた場合に有効ですが、公正証書までは作成しない場合でも、親権者を誰にするかについて、あるいは面会交流について具体的な条件を取り決めた場合には、離婚協議書として書面化しておくとよいでしょう。あとで相手方配偶者と争いになった場合に、証拠として用いることができます。

知っておくと安心、離婚届の不受理申出
相手方配偶者が離婚を急いでいる様子が見られる場合などに、離婚届を勝手に出されたらどうしよう…と心配になられることもあるでしょう。例えば、離婚についてまだ条件が詰められていないのに、離婚が成立してしまうと話し合いに応じてくれない、ということもありえます。
そこで活用したいのは、離婚届の不受理申出制度です。これは、本人の意思に基づかない届出が受理されることを防ぐために設けられた制度です。あらかじめ不受理申出をしておくと、本人以外の人が離婚届を提出しても、届出は受理されません。また、届出の相手方を特定した申出をすることも可能です。
もしも離婚届の不受理申出をしておらず、勝手に離婚届を出されて受理されてしまった場合、離婚が無効であると争うためには、家庭裁判所へ調停を申し立てる必要があります。

話が進まなければ調停離婚へ
協議離婚に向けた話し合いをしてもまとまらない場合、家庭裁判所へ離婚調停を提起することができます。調停委員が夫婦の双方から話を聞き、離婚問題の解決に向けて意見をすり合わせるように進行します。調停離婚の場合でも、離婚条件等の決定権は調停委員にあるわけではなく、協議離婚と同じように、夫婦間の合意がない限り離婚は成立しません。しかし、第三者である調停委員が間に入ってくれますので、より冷静に話し合うこともできるでしょう。

離婚の中でも最も一般的な「協議離婚」について、詳しく説明させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。「協議離婚」で解決できれば一番簡便ではありますが、その場合でも話し合って決めるべきことは多岐にわたります。精神的な負担も大きい時期のため大変ではありますが、十分な準備を重ねて、話し合いに臨まれてくださいね。この記事がご参考になれば幸いです。

(画像はイメージです)
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