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2025年05月30日(金)
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離婚慰謝料は3年で時効?!時効を止めるには

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離婚慰謝料は3年で時効?!時効を止めるには

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離婚の際に、相手方配偶者に対して慰謝料を請求したい、と考えられる方は少なくありません。離婚に伴う慰謝料は、離婚届を出した後からでも請求することが可能なのですが、いつまでも請求できるわけではありません。今回は、離婚に伴う慰謝料に関する時効についての知識をお伝えします。

離婚
慰謝料には時効がある!
離婚の際に、慰謝料を請求する場合の法律的な根拠は、不法行為に基づく損害賠償請求権です(民法第709条、第710条)。そして、「損害及び加害者を知った時」から3年の間に損害賠償請求権を行使しない場合、時効により消滅すると規定されています(民法第724条)。
以下では、どの時点から起算して時効になるのか、具体的にご説明します。

例えば、配偶者が浮気相手と肉体関係を持ったこと(「不貞行為」といいます)により、他方配偶者が精神的に傷つけられた場合、配偶者の暴力や虐待などによって、他方配偶者が負傷した場合など、配偶者の行為自体が不法行為と評価される場合には、慰謝料請求権が認められます。
このような場合、一方配偶者が不貞行為等の不法行為を行ったという事実を相手方配偶者が知った時が消滅時効の起算点になり、その時点から3年で消滅時効にかかることになります。

もっとも、どのような場合が「損害」を知った時に当たるかについては、注意が必要です。
例えば、配偶者が他方配偶者に暴力を振るわれて負傷した場合で、症状がしばらくの間固定しなかった場合には、症状固定日が消滅時効の起算点になります。また、被害当時には医学的にも予想されていなかった後遺症が後になって発症した場合には、後遺症の存在を知ってその治療を受けられるようになるまでは、3年の時効が進行しないとされています。

他方、配偶者が他方配偶者の不貞行為を知った後も、不貞行為が継続し、その間精神的な損害が増大していったような場合、判例は、このようなケースについて、同棲関係(不貞行為)自体を知った時点で「損害」を知ったものとして、同棲関係が開始されてから同棲関係自体を知るまでの間の分についての慰謝料請求権の消滅時効は、同棲関係を知った時から進行すると判断しています。
そして、同棲関係を初めて知った時以降については、同棲関係が継続される限り日々損害が発生し、それに応じて日々慰謝料請求権が発生し、そのそれぞれの慰謝料請求権で消滅時効が進行していると考えられます。
したがって、10年前から同棲関係を知っていた場合は、3年よりも前の分は時効にかかっていますが、それ以降の分は請求することができます。(ただし、別居期間が長期間に及んでいる場合は、すでに婚姻関係が破綻していると判断されて、不貞行為がある場合でも慰謝料の請求が認められない可能性があります。)

しかし、このような場合に、3年間分のみの慰謝料請求しかできないとすると、現実に10年間も精神的苦痛を受け続けたことと比較して、慰謝料が少額だと感じることでしょう。
そこで、他方配偶者が行った不貞行為による精神的損害に基づく慰謝料を請求するのではなく、そのような行為が原因となって離婚せざるをえなくなったことにより被った精神的損害に基づいて損害賠償を請求するという法律構成をとることも考えられます。
このような場合には、不貞行為等の不法行為があった時点ではなく、離婚をした時点で損害が発生したと考えることができ、離婚が成立した時に「損害」を知ったものとされ、離婚成立時から消滅時効のカウントが始まります。

なお、時効の期間が過ぎてしまった場合でも、請求権が自動的に消滅するわけではありません。時効によって直接の利益を受ける者(援用権者)が時効を主張しなければ、時効による請求権の消滅の効果は発生しません(民法第145条)。時効が完成してしまっていても、相手方に慰謝料支払いの意思がある場合には、支払いを受けることができます。

慰謝料の時効を止める方法は?
上記のように、時効により請求権が消滅してしまうという規定が定められていますが、この時効期間が経過する前であれば、時効の完成を止める方法が3つあります。

まず1つ目は、「時効の停止」と呼ばれるものです。夫婦間では、婚姻関係が継続している間は、他方配偶者に対し、損害賠償請求等の権利を行使することは通常期待できないため、民法では、離婚が成立してから6ヶ月が経過するまでの間は、夫婦の一方が有する権利について、時効は完成しないとされています(民法第159条)。そのため、配偶者の不貞行為や暴力などの不法行為による慰謝料請求権も、離婚成立から6か月間が経過するまでは、消滅時効が完成しません。

2つ目は、「時効の中断」という方法です。これは、時効が完成するまでの間に、訴えの提起、支払督促の申立てなどの裁判上の請求、あるいは差押え、仮差押え又は仮処分によって、請求権者の権利主張が明確にされた場合、若しくは、相手方が権利の存在を承認するような行為をした場合には、それまで進行した消滅時効期間が中断し、その時点から新たに消滅時効の期間が進行し始めます。例えば、配偶者が、他方配偶者の不貞行為の事実を知ってから2年半が経過した時点で、訴訟を提起すれば、その時点から再び3年が経過しない限り、消滅時効は完成しません。

3つ目は、「催告」という方法です。内容証明郵便等を送付して相手に支払いを求めることにより、6か月の間だけ、いったん時効の進行をストップさせるという制度です。この制度では、時効の進行が一時停止するだけで、それまでの消滅時効期間が0になるわけではありません。しかし、催告から6か月以内に訴訟を提起することで、その時点から新たに消滅時効期間がカウントされ始めます。

ただし、不法行為の時から20年が経過した場合(これを「除斥期間」といいます。)には、損害賠償請求権は当然に消滅してしまいます(民法第724条)。除斥期間については、時効の停止や中断をすることができません。したがって、慰謝料についてどんなに時効の停止や中断等で時効の完成を引き延ばしていっても、不法行為の時から20年が経過した時点で除斥期間満了により慰謝料請求権は消滅してしまいます。

財産分与や養育費にも時効はあるの?
離婚の際に問題となる金銭の支払は、慰謝料だけではなく財産分与や養育費が挙げられます。これらについても、請求できる期間には限りがありますので、お気をつけください。

養育費については、養育費についての取り決めがあった場合となかった場合で分けて考える必要があります。
すでに取り決めがある場合には、原則として未払いになった期日から5年が経過することにより、消滅時効にかかってしまいます(民法第169条)。しかし、例外として、判決文や調停調書などによって取り決められた場合には、10年が時効期間となります(民法第174条の2)。
養育費の支払いについて何も取り決めがない場合には、時効は存在しません。子どもが自立するまでの間、いつでも養育費を相手に請求することができます。ただし、請求した月からの支払い開始とされ、それよりも過去の分の養育費の請求は実務上は認められないことがほとんどです。

財産分与については、離婚が成立した日から2年が経過してしまうと、請求できなくなります(民法第768条第2項但書)。この期間は、除斥期間とされていますので、先に述べたような時効の中断や催告を行うことで、時効の進行を停止させることはできませんのでご注意ください。

時効が成立するまでの間であれば、慰謝料を請求することができるため、離婚してから時間が経ってしまった場合でも、諦める必要はありません。ただし、時間を置けば置くほど、証拠を集めることが難しくなりがちですので、できるだけ早めに慰謝料の請求を検討するよう心がけるとよいでしょう。

(画像はイメージです)
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