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2025年05月30日(金)
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バツイチなら気をつけて!前妻の子にもある「相続」の話

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バツイチなら気をつけて!前妻の子にもある「相続」の話

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連絡は突然に…相続分は誰のもの?
バツイチの夫が亡くなり、相続した財産で生活していこうと思ったら…突然前妻の子どもから連絡が。「自分も父の息子だから、財産を相続する権利があるはずだ。」

離婚、再婚が増えている現代では、このようなケースは良く起こります。しかし、別れた前妻の子どもが相続分をもらう権利はあるのでしょうか。また、このような事態を防ぐために、なにか準備しておくことはあるのでしょうか。

相続
先妻の子も相続人?意外に知らない「法定相続人」の範囲とは
そもそも、相続の権利は誰にあるのでしょうか?これに関して、民法900条は「法定相続人」について定めを置いています。「法定相続人」とは、法律に従って相続財産をもらえる人のことをいいます。

まず法定相続人にあたるのは、「配偶者」。法律上の夫や妻のことですね。離婚した場合には配偶者の地位でなくなるため、元夫・元妻の財産は相続されません。

次に法定相続人の地位にあるとされるのが「子」。戸籍上自分の子として記載されている人ですね。ここで注意してほしいのが、配偶者と異なり、離婚をしたとしても自分の子は「子」の地位を保つということ。つまり、先妻の子どもも法定相続人に含まれます。「離婚をしたから前妻の子は相続に関係ない!」と思われる方が多いのですが、それは間違いなんです。

もちろん、現在の妻との間に生まれた実子も、「子」にあたります。では、再婚相手の子(連れ子)はどうなるのでしょうか?実は、単に再婚をしただけでは夫と連れ子は何の関係もありません。連れ子と夫が養子縁組をして、初めて「子」として相続人になります。

なお、配偶者も子どももいない場合には、親や兄弟姉妹が法定相続の対象になります。

前妻の子はこんな請求ができる
ここまでで、前妻の子どもも「法定相続人」であることがわかりました。でも、具体的に何か権利を持っているのでしょうか?

前妻の子も法定相続人である以上、相続分を請求する権利があります。したがって、自分の取り分を正当に主張することができます。

法定相続分に従って財産をわけているときには「自分も頭数に入れてください」といえますし、遺産分割協議をしているときに「自分も話し合いに参加します」といえるということです。

少し難しいですが、法律上は①遺産分割調停➁相続回復請求③遺留分減殺請求の3つの方法をとることができます。

①は、遺産分割の話し合いがうまくいかないときに、裁判所を利用して調停を行う方法です。必ず相続人全員が参加しないといけないので、前妻の子を除くことはできません。

➁はすでに財産が分配されているときにとる方法。相続権が侵害されている場合に、財産を請求したり、相続権の回復を要求する権利のことです。具体的には、共同相続人の一人が相続財産を独り占めしているときなどに使うことができます。

③は重要な請求ですので、後ほど詳しくご説明します。

また、本来遺産となるべき財産を使い込まれていた場合には、使い込んだ人に対し不当利得返還請求(民法703条)をすることもできます。

法定相続に従うと、いくらもらえるの?
話を少し戻しましょう。法定相続分に基づいて分配する場合には、「誰に」分けるかだけではなく、「いくら」分配するかも法律によって決まっています。民法900条には、分配割合が以下のように定められています。

・配偶者のみ…配偶者がすべてもらえる
・子どものみ…子どもの頭数で割る
・配偶者と子…配偶者1/2、子全員で1/2

例えば、夫が亡くなり、前妻との間に子どもが1人、現在の妻との間に子どもが1人いたケースを考えてみましょう。

この場合には「配偶者と子(2人)」が法定相続の対象になりますね。そこで、まず現在の妻が財産の1/2をもらいます。次に、残り1/2を前妻の子と現在の妻の子の2人で分けます。つまり、子どもたちは1/4ずつ財産をもらえることになるのです。

必ずもらえる「遺留分」とは?
ここまで法定相続について説明してきましたが、これはあくまで財産を分ける指針がないときのルールです。例えば遺言が残されていれば、遺言に従って財産が分けられます。

しかしそうすると困ったことが起こります。例えば「前妻の子にすべて財産を渡す」「現在の妻にすべて財産を残す」などと書かれてしまうと、法定相続人であるのに1円ももらえないという事態になってしまうのです。亡くなった人に養われていた場合、これは死活問題です。

そこで法律は、配偶者、子、父母に最低限相続財産がいくよう保証制度を用意しました。これが「遺留分」です。贈与や遺言があっても、最低限遺留分として定められた割合の財産は請求することができます。

民法1028条によれば、遺留分の割合は以下の通りです。

・配偶者のみ…財産の1/2
・配偶者と子…配偶者が財産の1/4、子全員で財産の1/4

また、遺留分の算定基礎となる財産は「相続財産+贈与財産−債務」という式であらわすことができます。特に贈与財産には下記のものに限定されるので注意が必要です。

・被相続人の死亡前1年以内になされた贈与(遺留分を害することを知らない贈与も含む)

・被相続人の死亡前1年以上の贈与のうち、当事者双方が遺留分権利者の遺留分を侵害することを知ってなされた贈与

・相続人が受けた特別受益

たとえば、夫が死亡し、前妻の子、現在の妻、その子どもがいるケースを考えてみましょう。

まず、相続時に3,000万円の相続財産があり、これは遺言によってすべて現在の妻のものになりました。また、夫が死亡する半年前には、夫は妻に1,000万円を贈与していました。この場合遺留分の算定基礎となる財産は3,000万円(相続財産)+1,000万円(贈与財産)=4,000万円です。

前妻の子の遺留分の割合は、子どもが2人いるため1/2÷2=1/4になります。よって、4,000万円の1/4、つまり1,000万円は前妻の子の遺留分です。前妻の子は、現在の妻に対し、1,000万円の遺留分減殺請求をすることができます。

もっとも、遺留分の計算は現実にはさらに複雑です。「特別受益」といって結婚資金などが遺留分から差し引かれたり、介護などが「特別寄与」としてプラスされたりするからです。

遺留分について不安がある場合には、必ず専門家の意見を聞きましょう。

相続で揉めないためには遺言書を活用する!
普段は仲の良い家庭でさえ、相続をめぐって争いになることはしばしばあります。しかし自分が死んでしまったら、仲裁することも口出しすることもできませんね。そこで、事前に財産についても遺言書を残しておきましょう。

遺言書のメリットは、なんといっても財産の分配方法を指定できるという点にありましょう。遺留分の縛りはありますが、遺言書は法定相続分や遺産分割協議に優先しますので、特定の人に多くの財産を残したり、また誰か一人を相続から除くこともできます。これにより、相続人間の争いを未然に防ぐこともできます。

特に前妻の子に財産を残したい場合には、遺言書を書いておくべきでしょう。再婚相手やその子は、前妻の子の存在に気付かず、財産をわけてしまうことがあるからです。

遺言書は自分の意思を残すためでありながら、残された家族のためでもあるのです。

まとめ―相続争いを防ぐために生前の準備を!
相続には複雑なルールがあり、思わぬ争いが生じることも多いです。前妻との間にも子供がいる場合には、特に注意しましょう。親族間で争いにならないよう、生前に遺言を残し、紛争を未然に防ぐことが大切です。

(画像はイメージです)



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