離婚相談で弁護士へ！相談すべきタイミングと選び方

離婚問題に直面した場合、人生を左右する大きな岐路に立たされているといっても過言ではありません。このような時、自分一人で準備するよりも専門家である弁護士の力を借りたい、と感じている方は多いでしょう。

弁護士を依頼するとしても、どのタイミングで依頼したらよいか、どのような点に気をつけて弁護士を選んだらよいのか、悩まれるところですよね。以下で、この疑問点について、見ていきましょう。

離婚問題について弁護士に相談するタイミングとしては、次の3つが考えられます。

①離婚について夫婦間で話し合いをしている段階の時
離婚すべきかどうか自体や、慰謝料や養育費、あるいは親権等の離婚に付随する条件について、夫婦間の意見が対立している場合、弁護士に相談することで有益なアドバイスを得ることができます。

たとえば、慰謝料等の金銭の支払いについてどの程度が妥当なのか、親権について仮に裁判になった場合にどちらに有利になりそうなのか等を相談し、アドバイスを受けることで、夫婦間での交渉の際に役立てることができます。

インターネットや書籍等を用いて自力で調べることもできますが、ご自身の置かれている個別具体的な事情のもとで裁判になった場合にはどのような結果が見込まれるのか、慰謝料等の金銭の支払いの適切な相場がどれ位であるのかは、やはり専門家である弁護士に相談することでより適確な解決策を見出すことができます。

他方、離婚問題についてほとんど争いがない場合には、弁護士に頼らずに当事者同士で解決することも可能でしょう。ただし、このような場合でも、約束した内容を記載した合意書や公正証書を作成する際は、専門的な知識も必要とされますから、一度弁護士に相談した上で作成した方が間違いがありません。

②離婚調停をするタイミングで
離婚調停とは、調停委員という中立的な第三者が仲介役になり、離婚するかどうかやその条件について家庭裁判所で話し合う手続きのことをいいます。夫婦間での話し合いがまとまらなかった場合に離婚調停を利用することになります。裁判官の判断で決定されてしまう離婚裁判とは異なり、離婚調停では決定権が調停委員にあるわけではなく、あくまでも夫婦間の合意がなければ調停は成立しません。

ただし、中立的な仲介役とはいっても、調停委員の仕事は離婚に関する争いをまとめることにあります。そのため、場合によってはご自身の意には沿わないけれども調停委員は妥当だと考えている方向に話を進まされてしまうこともありえます。

例えば、夫の方は親権について争いたいと考えていたのに、「今までの話し合いを鑑みるに、親権は母親の方がふさわしいと思いますので、次に面会交流の条件について交渉しましょうか。」等の進行や提案をされるといったことです。

このような場合に、専門家であり経験も豊富な調停委員の提案に対して、即座に意見を述べて説明をすることはなかなか難しいでしょう。ご自身の希望を調停委員に対し自信を持って説得的に意見を述べるには、事前に離婚問題に関する知識を身につけておくことが必要です。

しかし、法的知識を自力で身につけることは限界があり、ご自身の置かれている状況に合わせた妥当な解決策については実務上の知識や経験がなければ判断が難しいのです。不安や疑問点がある場合には、専門家である弁護士に相談することで、正確で適切な知識とご自身の置かれた事情に合ったアドバイスを得ることができるでしょう。

また、離婚調停の段階から弁護士を依頼することは、調停がまとまらずに裁判になった場合も見越した上で、申立書を作成し、主張を展開してもらえるというメリットもあるのです。

③離婚裁判に発展した時
離婚調停・審判でも夫婦間の争いが解決しなかった場合には、離婚訴訟を提起することができます。

離婚裁判であっても、弁護士に頼らず本人訴訟を行うことも可能ではあります。しかし、調停とは異なり、訴訟は裁判官が判断を下すことになり、主張やそれを裏づける証明も法律に従って行わなければなりません。

高度に専門的な知識を要することになりますし、もし裁判官がこちらの主張に納得しなければ敗訴の判決が下され、その判決には拘束力が及ぶことになります。

以上のことから、離婚問題について裁判に至った場合には弁護士を依頼した方が間違いがないといえるでしょう。それ以前の、当事者での協議段階や離婚調停の段階では、疑問点や不安点があれば弁護士へ一度相談に行き、必要だと考えた場合に引き続いて依頼されるとよいのではないでしょうか。

弁護士は一定の法律知識は有していますが、それぞれに分野があり、その性格も多様です。弁護士であれば誰でも大丈夫、というわけではありません。以下のようなポイントに注意して、弁護士探しをするとよいでしょう。

①離婚問題を得意としていること
離婚問題に注力していて実績のある弁護士であれば、最新の判例等もよく勉強していますし、慰謝料、財産分与や親権などの離婚問題ならではの専門的な知識を積み上げています。また、判決の見立てや落としどころについては経験を積むことによって獲得できる部分が大きいですから、実績が多い弁護士ほど安心して任せられますね。

ただし、離婚問題の中でも、事情によっては専門性が必要な部分もあります。例えば、DV(家庭内暴力)が問題になっているケースでは、相手方に居場所を知られないようにしたり、接触を避け、新たな被害に遭ったりしないよう、特別な対策が必要になることが多いので、離婚問題に詳しいだけではなく、DVのケースについて経験の豊富な弁護士を選んだほうが良いでしょう。

②話をよく聞き、説明をきちんとしてくれる
ご自身の相談に対し、弁護士が心情に配慮して、話をよく聞いてくれるかどうかをチェックしましょう。杓子定規な語り口で法的な見解と結論しか話してくれない、と違和感を抱いたり、会話のやり取りがスムーズにいかないと感じられたりするような弁護士に依頼することはやめておいたほうが賢明です。

専門用語についてわかりやすく説明をしてくれるかどうかも一つの判断基準になります。難解な用語もわかりやすく説明できる人はその事項に関する理解度も深いといえますから、離婚問題を得意としているかどうかもこのような点から判断することができます。

リスクやデメリットをしっかり説明してくれるかどうかも大切です。実際は依頼者の希望を叶えることは難しいケースであっても、「大丈夫ですよ」と聞き心地の良い言葉だけを重ね、着手金を受け取ることを目的に依頼者をその気にさせてしまう弁護士に当たってしまうこともありえますので注意が必要です。

また、料金について、見積もりとして提示された弁護士費用の中にどこまでのサービスが含まれているのか、追加料金が発生することはあるかについても弁護士に聞いて、明確に説明してくれるかを確認しておくべきでしょう。

③弁護士がご自身と同性であることにこだわりすぎない
ご自身と同性であるかどうかを基準にしてふるいにかけてしまうと、弁護士の選択肢が狭まってしまいます。確かに、離婚問題は男女間の感覚の差や社会的な立場の差が発端となっていることも多く、ご自身と同性の方が話がわかるのではないかと心配されるのも当然ではあるのですが、弁護士は依頼者の味方になり、依頼者のことを一番に考えることが仕事です。

異性であっても話をよく聞き、理解してくれる方もいらっしゃいますので、実績や人柄等、他の要素を判断基準とされるとよいでしょう。

④他の専門家との繋がりがあること
例えば、浮気の慰謝料請求を希望する場合、証拠収集の助けになるような専門家との連携を取れれば効果的ですし、離婚に伴って不動産関係や税金関係の問題点が出てきそうな場合には、不動産会社や税理士等の協力を仰げるような関係を築けている弁護士ですと、スムーズに解決へ向かうことができます。

弁護士を選ぶ際のポイントは以上の通りですが、初回の何分かは無料相談を行っている弁護士も多いので、何人かに相談をし、最も上記のポイントを満たしていて信頼の置けそうな弁護士を選ぶとより良い結果につなげることができるでしょう。

弁護士相談は、時間が限られていることが多いので、弁護士からの意見や助言等にあてる時間をできるだけ多く得られるよう、こちらの情報や希望を短時間で効率よく伝えるために、事前に準備しておくことが必要です。

具体的には、時系列順に婚姻時から現在までの出来事について簡単なメモを作成しておくことをお勧めします。書いておくべき出来事としては、入籍、結婚式、同居、別居、転職、失業、子どもの出産、子どもの入学、不動産の購入、DV、浮気などが考えられますが、他にも書いておきたいことは記しておくとよいでしょう。

さらに、ご自身が抱えている離婚問題について、どういった希望があるのかについて、理由や条件も併せて簡単にまとめておくと、弁護士相談の際に伝え忘れることを防止できます。

問題の要点をわかりやすく簡潔に整理し、事実を全て共有できるようにすることは、弁護士と上手な信頼関係を築くコツでもあります。

また、DVや浮気で悩まれている場合には、証拠を用意できるようでしたら持参し、証拠として十分かどうか、弁護士に確認してもらいましょう。仮に持参できる証拠がない場合でも、その旨を弁護士に伝えれば、今後に向けた有益なアドバイスが得られるはずです。

離婚問題に直面している時は、心身ともに大きな負担を抱えてしまいますから、信頼の置ける弁護士と出会い、解決へ向けて進んでいくことができるよう応援しております。この記事が一助となれば幸いです。

（画像はイメージです）