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2025年05月30日(金)
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離婚協議にかかる生活費はこれで解決!婚姻費用分担請求について徹底解説!

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離婚協議にかかる生活費はこれで解決!婚姻費用分担請求について徹底解説!

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配偶者が家から出て行って生活費を入れてくれない、あるいは配偶者との生活に耐えかねて別居に踏み切ったものの生活費に困窮する、といった悩みは、生活に直結するだけに深刻なものですよね。
このような場合に、収入の少ない配偶者は、収入の多い配偶者に対して生活費等を請求することができます。これを婚姻費用分担請求といいます。以下で詳しく見ていきましょう。

別居
婚姻費用分担請求について
婚姻費用とは、一般的には夫婦とその未成熟子の共同生活のために必要とされる費用、つまり生活費のことをいいます。

民法760条に、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と規定されています。夫婦はお互いに、自己と同程度の生活水準まで配偶者を扶養する生活保持義務を有しており、この義務は例え別居中だったり、離婚について協議中であったり、裁判所での手続きが進行している場合であっても、離婚が成立しない限りは生じます。この生活保持義務にかなう適正妥当な金額を、収入の多い配偶者から少ない配偶者へ支払うことになります。

生活費に含まれるものは何?
婚姻費用の具体例としては、衣食住に関わる費用、子どもの養育・教育に関わる費用、医療費、交際費などが挙げられます。子どもが病弱であったり、生活能力がなかったりする場合や、親の経済状況等によっては、成年の子どものための生活費や学費もこれに含まれるとされています。

支払わなくてもいいケースはあるの?
別居しており、婚姻関係が事実上破綻している場合でも、離婚していない限り、夫婦は互いに婚姻費用分担の義務があります。ただし状況によっては、婚姻費用の支払請求が認められなかったり、支払の範囲が縮小したりする場合もあります。例えば、別居の原因が自分にあるにもかかわらず、婚姻費用の分担を請求したような場合です。

裁判例では、夫婦の一方が他方の意思に反して別居を強行し、その後の他方配偶者からの同居の要請にも全く耳を貸さず、同居生活回復のための真摯な努力も全く行わなかったために別居生活が継続し、しかも別居がやむをえないとするような事情も認められない場合には、自分自身の生活費に当たる部分についての婚姻費用分担請求は権利の濫用として許されない、としたものがあります(東京高等裁判所決定昭和58年12月16日)。

このような場合であっても、子どもの生活費については注意が必要です。これについては、先述の夫婦の間の生活費とは異なり、別居の理由や態様を問わず、子どもの養育を行っている限り請求できるとされています。子どもの養育費は、親によって負担されるべきものであり、両親の相互の関係によって制約されるべきではないからです。

別居中の生活費の決定基準
婚姻費用の金額は、夫婦の話し合いによって定めることができます。お互いの合意があれば、どのような金額にすることも可能です。婚姻費用の分担は夫婦の生活水準を自己と同レベルにするよう助け合うことが目的ですから、婚姻費用を支払う側(収入が多い方)と婚姻費用を受け取る側(収入が少ない方)の年収の差が大きいほど、婚姻費用が高額になり、また、子どもが複数である場合や、子どもの年齢が高い場合には、婚姻費用が高くなる傾向にあります。

ある程度の基準がないと金額を決めるのは難しいので、実際には裁判所の婚姻費用算定表を基準に話し合いを進めることが一般的です。

婚姻費用算定表とは?
婚姻費用算定表は、裁判所のホームページでダウンロードすることができます。算定表は、夫婦のみの場合と、子どもの人数と年齢(0〜14歳と15〜19歳)に応じて表が分かれています。

算定表を利用するにあたっては、まず支払う側と支払を求める側の年収を確認します。給与所得者の場合は、源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)が年収にあたります。自営業者の場合は、確定申告書の「課税される所得金額」が年収にあたります。

次に、子どもの有無、及び子どもの人数・年齢から、利用すべき算定表を選びます。算定表の「縦軸」から、支払う側の年収に該当する金額を探し、そこから右方向に線を引いてください。給与所得者か自営業者かで縦軸の欄が異なりますので、間違えないよう気をつけましょう。

同じように、今度は算定表の「横軸」から、支払いを求める側の年収に該当する金額を探し、そこから上方向に線を引いてください。
2つの線が交差する欄の金額が、婚姻費用の標準的な月額となります。

例えば、夫が給与所得者で年収400万円、妻の年収は0万円の世帯で、10歳の子どもが1人いる場合、算定表によれば月額6〜8万円となります。また、夫が給与所得者で年収400万円、妻も給与所得者で年収300万円の共働き世帯で、10歳の子どもが1人いる場合は月額4〜6万円となります。

算定表を用いて算出した婚姻費用は、参考として使われており、実際には、夫婦の資産、収入、支出など一切の事情を考慮して決定することになります。ただ、個別的な事情といっても、通常の考えられるような事情は算定表の額の幅の中で既に考慮されているため、この幅を超えるような額の算定を要する場合は、この算定表によることが著しく不公平となるような特別な事情がある場合に限られるようです。

婚姻費用分担請求に必要な書類は?
婚姻費用の支払いについて、まずは婚姻費用算定表を参考の上、相手方と話し合いをしてみましょう。話し合いで婚姻費用の支払いについて合意ができた場合は、公正証書を作成することをお勧めします。

直接話し合うことが難しかったり、話し合いをしてもまとまらない場合は、家庭裁判所へ調停を申し立てて、婚姻費用の分担請求を行いましょう。

婚姻費用分担請求に必要な書類は、以下のとおりです。
1.婚姻費用分担請求調停の申立書及びその写し1通
2.夫婦それぞれの戸籍謄本(全部事項証明書)
3.夫婦それぞれの収入が分かる資料(源泉徴収票や確定申告書、給与明細など)
婚姻費用分担請求調停の申立書については、ひな形を裁判所のホームページからダウンロードすることができます。記載例もダウンロードすることができますので、これを参考に記入していくとよいでしょう。

「申立ての理由」欄には、同居・別居の時期、婚姻費用について取決めの有無とその内容、婚姻費用の支払状況等の事実関係を記入します。明確な日付が分からない場合は、おおよその日付でも構いません。相手方の収入関係資料については、申立ての際に持っていなければ用意しなくても構わないとされています。

生活費の支払が行われない場合の対処方法
夫婦間の話し合いで合意して決めた婚姻費用が支払われない場合は、家庭裁判所に対して婚姻費用分担調停を申し立てましょう。以下で紹介する裁判所を通した対処方法を行うには、公正証書を作成している場合を除き、調停や審判を経ている必要があります。

調停や審判で決まった婚姻費用が支払われない場合の対処方法としては、履行勧告、履行命令、強制執行の3つが考えられます。

履行勧告とは、家庭裁判所が、権利者(婚姻費用を受け取る側)からの申し出により、義務の履行状況を調査した上で、義務の履行を促すものです。申立ての手数料は無料で、申立てを電話で受け付けている裁判所もあります。

費用がかからず、手続きも簡単な点が長所ですが、法的な拘束力はなく、相手から直接取り立てることはできません。裁判所という公的機関から相手方に対し取決めを守るよう説得や勧告を行い、自発的に支払をさせようとするものです。

履行命令とは、家庭裁判所が権利者の申出により、相当と認めるときに、義務者に対して相当の期間を定めてその義務の履行を命ずるものです。申立ての手数料は500円です。相手から直接取り立てる効力はありません。相手方が正当な事由なくその命令に従わないときは、10万円以下の過料の制裁を科されることがあり得ます。ただし、実際には必ずしも過料が科せられるとは限らないため、命令が無視されてしまうこともあるようです。過料が科されても、その過料が権利者のものになるわけではありませんし、申立ての手数料もかかってしまうため、一般的には利用される方は少ないようです。

強制執行とは、調停や審判等で約束された婚姻費用を相手がお金を支払ってくれない等債務を履行しない場合に、裁判所が強制的に支払わせる方法のことをいいます。婚姻費用の請求に用いられる強制執行の手続きには、直接強制と間接強制があります。

直接強制は、権利者の申立てにより、地方裁判所が義務者の財産(不動産・債権など)を差し押さえ、その財産の中から金銭を回収するための手続です。

通常の場合は未払分についてのみ差し押さえることができ、将来の分については差し押さえできません。しかし、婚姻費用の分担金については、差し押さえのできる範囲が強化されており、まだ支払日が来ていない将来支払われる予定の婚姻費用についても一括して差し押さえをすることができます(民事執行法151条の2第1項2号)(ただし、実際に差し押さえた婚姻費用を受け取ることができるのは、将来分の支払日が到来した後になります。)。

さらに、給料を差し押さえる場合、通常は給与の4分の1までで、4分の3(この額が33万円を超えるときは33万円)に相当する部分(民事執行法152条1項)は差し押さえることはできませんが、婚姻費用の場合は、給料の2分の1に相当する部分までの範囲で差し押さえが認められます(民事執行法152条3項)。

間接強制は、債務を履行しない義務者に対し、「一定の期間内に履行しなければその債務とは別に間接強制金を課します」と警告することで、義務者に心理的なプレッシャーを与えて自発的な支払を促すものです。基本的には金銭の支払を目的とする債権については間接強制の手段を取ることができないのですが、婚姻費用などの夫婦等の扶養に関する権利については、間接強制の手段を取ることができるようになっています。

間接強制は、財産を直接差し押さえて金銭を取り立てるものではありません。間接強制の決定がされても相手方が養育費等を自発的に支払わない場合には、取り立てのために別途直接強制の方法をとらなければなりません。

別居している場合でも、相手方へ生活費を請求することができることがお分かりいただけたでしょうか。生活費はなくてはならないものですので、しっかり権利を主張して支払ってもらいましょう。
(画像はイメージです)
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